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2007/12/29 (Sat)
石田衣良の「てのひらの迷路」を読みました。
その中に「左手」という掌編があります。

手がほしい。手だけでもいい。

そんな想いを、私も書いてみました。


白い指、美しいラインでその手は形作られている。
改めてその手を愛しいと感じる。
手首をそっと包み込むようにして顔の前まで持ち上げる。
運転しながら「舐めちゃダメ」と声がする。
苦笑して「なんでわかるの?」と答えると、横顔が笑う。

あなたを連れて帰ろうなんて思わない。
・・・いらない(笑)
でもこの美しい手を胸に抱いて帰りたいと切に願う。

いたずらっぽく動く指先は、そっと指を絡ませていても
私の指先を舐めるようになぞっていく。
その刺激に耐えられず手を離すと、
今度は膝から内腿へとつたっていく。
密やかに、そして当然のように。そう動くのだ。
私も当然のようにその動きを見つめる。
なのに、身体は反応してしまう。必然のように。

びくっとする私を一瞥して、彼は言う。
「息、してね」
前を向いたまま。

いじわる。

もう一度手首をそっと抱き締めると、我慢できなくなって
「欲しいな、この手」と言ってしまう。
「手だけでいいの?」
「いいの」
嘘じゃない。間違いなく私、この手があれば幸せ。
あなたの手だから。

私の頭を撫でるこの手が欲しい。
それだけで私の身体から力が抜けるから。
私の首筋を伝うこの手が欲しい。
それだけで身体の奥が熱くなるから。

脳裏に思い描いていた、あの手が
今、目の前にある。
私の腕の中にある。

何故だろう?
見た目が好きなのではないと思う。
その白さやしなやかさが特にどうだという訳でもない。
写真に撮ってしまえば、
誰の手なのか判別できないかもしれない。

それでも、
圧倒的な存在感で
その手はわたしの全ての感覚に訴えかける。
私の感情を捉える。
ずっと手を見てる。目が離せない。
何故だろう?

あなたの、手が。

あなたが油断してる隙に、
敏感そうな指先を湿った唇に含んでみる。
ちいさくいやらしい音がする。
無言でこちらを振り向いた気配に、
私は目を閉じ更に深くその愛しい指先を吸い込んだ。

くっと指に力がこもって、開いた眼。
少しだけ視線を右にずらすと、
無表情なのに熱のある視線が絡まる。

前を向いたまま今度は私が声を出さずに笑う、
口角だけがきゅっと上がる笑顔。
勢いよく吸い込む。
車内に私の口から発する音だけが響く。
「・・・」
声にならない声がする。

湿った指と意思を持った手は
口元から胸元へと移動する。
正確に敏感な部分を捉える。
私の笑った口元は緩む間もなく、
「んっ!」と息を小さく短く吐き出す。

息が出来なくなる。

かなわないのだ。
それはわかっている。





だから、私はこの手が欲しい。






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少々校正して1000文字。
久しぶりのSS(ショートストーリー)になりました。
・・・かおりちゃん元気かなぁ?(笑)
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2008/01/17 19:21 | | [ 編集 ]









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